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『マンチェスター・バイ・ザ・シー』強がり、だとか意識している領域と、魂に残り続けている傷、のような無意識の領域と、どうにかしたさとどうにもできなさと、それでも時間、というものが速度の多少はあれど、すべてを押し流していく、その押し流していく過程、つまりは時間を、傷ついた2人の日常を、あがきと諦めと、話し合いとケンカと、針が振り切れ切らずに諦めない、投げ出さない、その様を見ていて、この2人は時間というものを信じている、どこかで信じているから生きていけるのだ、と思った。時間とは変わりゆく魂のことかもしれないし、意識では計り知れない生き続ける理由のことなのかもしれない。優しく、かつ非情に、一定の距離を持ってカメラはその様を見て、見続けている、そのことがこの映画の希望のようなもので、生きていくためのつかの間の意味や理由にもなっていく。ひたすらに出てくる人たちが優しいのも、この映画には必要なこと、だと思いました。寛容。肯定。ときに難しいことだけれども。時間を信じて。魂を信じて。