5/3

以前(4/16)に紹介した、解剖学者の三木成夫さんの著書に書いてあったことだけれども、我々には二つの穴がある、と。ひとつは外側の穴。すなわち動物的な穴。行動する穴。言えば内臓を内蔵する空洞的な穴。もうひとつは、内側の穴。それは植物的な穴。エネルギーの吸収と、排出を担う穴。すなわち内臓の穴。口の穴から肛門まで。この内側の穴を外側の穴で持って持ち歩いているのが、動物であると。すなわち植物的な器官を持ち歩けるようにしたのが動物であると。そのようなことが書いてあった。つまりすなわち、私たち人間も、植物的な器官を持ち歩いているわけで、私たちの中にはどうしても木、とか花、とか葉っぱ、とか茎や幹、というものがあるわけで、でも根っこを取ってしまったと言ってもいいわけで、だから土から離されてしまった植物、とも言えるわけです。動物は。だから、私たち人間は、ちょっとでも頭で考えることができるのだから、少しはいかにして根っこを作るか、ということを考えてもいいと思うわけです。物理的でない根っこを。我々の根っことはどこにあるのか。それは、愛、とも言えるような、許され方であるのかもしれないと思います。許されていることに気付くことが、われわれの根っこを作ることにつながっているのかもしれません。