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「ムーンライト」観た。あるひとりの男のあるひとつの心の傷を丁寧に描いていた。世界の行く末とも皆が幸福になるための術だとも、そう言った大きな話とは双極とも言ってもいいくらい距離の離れた、プライベートな個人の感傷。人間を描く。ということはそういった誰とも共有しがたい悲しみがこぼれ出てしまう瞬間を描くことなのかもしれない。大きな物語に個人の存在が飲み込まれてしまうような話が数多く、フィクションにも現実にもある中で、このような映画は、そのような流れに飲み込まれてしまいがちな私たちの中にも、そんな悲しみがあることを思い出させてくれるのかもしれない。そしてその悲しみは、私たちが生きる意味を求める時だとかに、根源にある悲しさ、寂しさであって、私たちがほんとうに求めているもの、かもしれない。